「怪獣即ち鬼」という美術家・成田亨さんの思想を自分なりに解釈して表現しました。

 

今回の「幡ヶ谷仮面展2022」参加にあたり、珍獣プロダクションは以前より構想していたモチーフである「鬼」を制作しました。
私は怪獣造型の道を志して4年前に上京した27歳の作家です。日本の土俗的モチーフと実在する生物の質感を組み合わせたイメージを、自分の中で怪獣の理想像の一つとしています。

 

東宝映画の怪獣「バラン」(1958年)は、まさにその好例といえるでしょう。
東北の山奥で信仰されていた神様の正体が中生代の怪獣だった、という設定に相応しい土俗的な表情と、生物感溢れる皮膚やトゲの造形。
自分が目指す怪獣イメージの完成形の一つである、バランを念頭に「鬼」の形を作りました。

また「鬼」というキャラクターを制作する上で意識していたのが「怪獣即ち鬼」という成田亨氏(彫刻家・特撮美術デザイナー。ウルトラマン、ウルトラセブンなど数多くのヒーロー・怪獣・メカなどのデザインを生み出した)の思想です。
怪獣も鬼も人類社会の矛盾を象徴する存在で、社会に相容れないために退治される宿命を背負っています。
存在するだけで都合悪く、排除されてしまうものたち。その悲劇的存在に負い目や同情を感じるからこそ、人々は魅了されるのかもしれません。
日本の鬼は忌み嫌われながらも、ある時は鬼瓦のように守り神として崇められます。善と悪や明と暗といった二元論を超え、聖性を備えた存在。成田氏がウルトラ怪獣をデザインする際も、それを意識されたそうです。

 

本作「鬼」をお買い上げいただきましたら、ぜひ魔除けとしてご自宅などに飾っていただけたらと存じます。また作品について、ご不明な点などございましたらお気軽にお問い合わせください。
ご精読いただきまして、ありがとうございます。

 

珍獣プロダクション
代表・瓜生遼太郎

 

参考文献
成田亨(2014)『成田亨作品集』、羽鳥書店
相原一士、富田智子、江尻潔(2007)『怪獣と美術ー成田亨の造形芸術とその後の怪獣美術』、東京新聞

 

 

 

作品名 Title : 鬼

作家名 Artist : 珍獣プロダクション

価格 Price : 100,000円

展示番号 Number : 4

会場での試着 Try on : 不可